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 大人からバレエを習ってうん十年の自分でも、

末端から日本のバレエ界を見るといろいろおかしなコトが垣間見えることがあります。

「崖っぷちの老舗バレエ団に密着取材したらヤバかった」は、

著者の渡邊永人さんがバレエ素人目線からバレエ団運営とバレリーナの日常を取材して、
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日本のバレエ界の「ヤバい」状況を素人目線から素直につづった本でした。

例えば、多くの日本のプロバレリーナがバレエを踊るだけでは食べて行けず、

バレエ教室の教えや週5バイトして生きている状況や

多くの日本のバレエ団が団費を所属バレリーナから受け取り団を経営していることなど

令和の一般目線から見るとどうなんだろ?と思う状況が赤裸々にづづられています。

著者の渡邊永人さんはYoutube専門の動画制作会社に勤めるディレクターで

この本を執筆するきっかけは老舗バレエ団の「谷桃子バレエ団」を紹介するYoutubeチャンネルを立ち上げたことだそうです。

元々お笑い芸人を目指していた方なので、好きなことで食べていくことの難しさを理解しつつも、

団費を払いながらバイトしてかつかつの家計で踊っているバレエダンサーの状況に疑問をもちながら、

経営上そうせざるを得ない芸術監督の高部尚子先生の苦悩を温かく見守っています。

華やかに見える日本のバレエが、海外のバレエ団と違いビジネスとして成り立ちにくい状況で上演されているのがよく分かる一冊です。

本書はバレエ素人にも共感できるよう、バレリーナの状況を個別のバレリーナのエピソードをからめてつづっています。

個人的に共感したエピソードは、ロシア帰りのバレリーナの大塚アリスさんが

「私がやりたいバレエってこれだっけ?」と谷桃子バレエ団で踊ることを悩むところ。

コロナと戦争でロシアから日本に帰国せざるを得なかったロシアバレエ好きのアリスさんが、

どちらかと言えばヨーロッパ寄り、イギリス寄りのメソッドをベースにしている谷桃子バレエ団で踊るのは自分的にどうなのか?と悩むシーン。

これ結構バレエあるあるで

ヨーロッパで活躍するバレリーナでも「あっちのバレエ団に自分のやりたい作品・方向性があるから」

といった理由でバレエ団を移籍したりもします。

ただ自分事情で移籍ができるのはかなり実力のある主役級バレリーナが、移籍先にたまたま「空き」があった時に成立することが多いような気がします。

若手のプロバレリーナとしては作品の中の「素材」として芸術監督や振付家に求められるテクニックや表現を器用にこなすのが必要な時もあるのでしょう。

今後アリスさんが納得して今のバレエ団で踊るのか?機会を見つけてロシアに戻る道を選ぶのか?

どちらにしても人生は一回きりなのでアリスさんが満足できる道を選べることを祈ります。

本書はバレエ好きにお勧めできる一冊であると同時に

バレエにからめた人間ドラマに興味がある方にも楽しめる一冊です。

印税は全額谷桃子バレエ団に寄付されるそうなので、谷桃子バレエ団を応援したい方もぜひ!





谷桃子バレエ団のYoutubeチャンネルも興味深いので見てみてくださいね。

ここまでお読みいただきましてありがとうございました。

では、またね。(*・ω・)ノ

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