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【読書】「つけびの村」:限界集落の殺人事件を背景にある「うわさ」から読み解く

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ゴールデンウィーク中に興味深い本を読んだのでご紹介します。

「つけびの村」、限界集落で起きた殺人事件を追った話です。

①「つけびの村」の内容

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12人しか住人がいない山口県の限界集落で5人が撲殺された後、家に放火される事件が起こった。

捕まった犯人は同じ集落の住民で、妄想性障害から他の住人達からうわさされ嫌がらせを受けていると思い込み犯行にいたった。

何ともショッキングな事件である。

同じ集落の住人12人のうち5人が殺され、1人が犯人、残った住人は6人なのだから。

閉鎖的な村社会の中で一体何があったのか?

著者の高橋ユキさんは犯人に面会し事件について聞き出そうとするが、犯人は妄想性障害が進行しており、事件の核心にせまるような話は聞き出せなかった。

同時に著者は事件があった集落に通い、残った住人の証言を集め、

事件の背景にあった「うわさ」がどのようなものであったのかを丹念な取材を元に明らかにしようと努めている。

②「つけびの村」を読んで感じたこと

本書の中で、集落内で人間関係の「うわさ」はあったものの、そこまで攻撃的なうわさであったとは書かれてないように感じた。

その一方で個人的に感じたのは、うわさしつつ情報交換することが人間の根強い性質であり、誰も狭い集落の中でうわさからは逃れられないということ。

当たり前のことではあるが人間は社会的な動物であり、

学校、会社、地域など閉じられた人間関係の中で人は人のうわさをしてしまう。

誰かと会ったらたわいもない話をして情報交換してしまう。

誰かと会った時むっつりと黙っていたらそれこそ自分がうわさのタネになってしまう。

人間関係を円滑に保つ上である程度のうわさは仕方がないもののように思われた。

取材の中で明らかになるうわさ話の中にひどく悪質なうわさは認められないように思えた。

(残された住人が保身に走り話していない可能性も無くはないが・・・)

ただ、都会からUターンで故郷に戻り妄想さいなまれた犯人には、自身が不当にうわさされ、

いじめられていると感じてしまったのかもしれない。

こうした閉じられた構成人数の少ないコミュニティーの中で、人はどうしても疑心暗鬼になりやすい。

自分も小さめのコミュニティーの中で疑心暗鬼になってしまった経験が過去にあるので、

なんとなく孤立してしまった犯人の気持ちも分からないでもなかった。

狭いコミュニティーでは一度悪いサイクルにはまると逃げ場がない。

そのサイクルにはまりたくないがために、人は集まるとうわさをして自分の集団の中でのポジションを確認・確立しようとする。

ひとりひとりの「人」はそれほど悪意はなくとも、人々が集団になりうわさ話を始めると、

思いがけなく孤立した人を追い詰めてしまう可能性がある、と本書を読んで感じた。


「つけびの村」、なかなか興味深い本だったのでもし興味があれば読んでみてくださいね。



ここまでお読みいただきましてありがとうございました。

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【読書】山本文緒「無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記」を読む

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作家の山本文緒さんが亡くなったのを知ったのは、今年の夏前に最後の長編小説「自転しながら公転する」を読んだ後。

ネットで山本文緒さんの情報を見ていて2022年にすい臓がんで亡くなったことを知りました。

まだ58歳だったそうです。

「無人島のふたり-120日以上いきなくちゃ日記」は山本文緒さんが化学療法を受けてその苦しさに治療を断念し、

緩和ケアに移り軽井沢の自宅で闘病する中でつづられた日記です。


元編集者の旦那さんとふたり軽井沢で穏やかに過ごす日々、その中で進む病状と終末が近い心の葛藤を穏やかな筆致で綴っています。

すい臓がんの末期が苦しくない訳ないのに苦しそうな描写が少ないのは、出版された時の読者への気遣いが感じられました。

いつも読み手の事を考えて、読者に受け入れられるかを考えながら執筆しているのは、さすが一流の作家さんと感じました。

残された日々の中で病の苦しさと闘いながら、遺言書を書いたり身辺整理をしたりする様子を見ると、

苦しい化学療法をあきらめて、緩和ケアで最後の日々を穏やかに過ごす選択もありだなと感じました。

亡くなる10日前まで文字を紡いていこうとする姿には作家としての気概を感じました。

というか、きっと山本文緒さんには文字を紡いでいくことが生きることだったのでしょう。

このブログ書いている時に気づいたのですが、

2022年10月4日:山本文緒さんが最後の文章を書く

2022年10月13日:逝去

2022年10月20日:本の発行

と日程がすごい近接している。

と言うことは、文章を手書きしてすぐテキストに起こし、順次編集さんに渡し、

編集さんが受け取り次第順次内容チェックし、校閲に回し、

逝去後すぐ最終チェックし校了、印刷に回していたということ?

書き手と編集(+もしかして旦那さんの手伝い?)のすばらしい連携で出版された本なのですね。

山本文緒さんと編集さんのプロ意識に脱帽。

最後まで作家であり優れた文筆家だった山本文緒さんのご冥福をお祈りします。

今まで素晴らしい作品をたくさんありがとうございました。



ここまでお読みいただきましてありがとうございました。

では、またね。(*・ω・)ノ

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【投資】「一番やさしい!一番くわしい!iDeCo活用入門」(竹川美奈子・著)を読んでみた:iDeCoの出口戦略を考える

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2022年4月にiDeCoの制度改正があり、iDeCoに加入できる対象者が増えたり、iDeCoの掛け金拠出期間が伸びたりしました。

それと同時に、iDeCoを一時金で受け取る場合、前年以前19年に受け取った退職金と退職所得控除枠を共有することになりました。

変更前は、前年以前14年以内に受け取った退職金と退職所得枠を共有、となっていたので5年も共有期間が延びたことになります。

この変更は過去に転職歴があり、退職金を受け取ったことがある人には大問題で、iDeCoの退職所得控除枠をフル活用するには、退職金を受け取ってから20年間はiDeCoを一時金として受け取れなくなります。

iDeCoをどう受け取るとトクか?を検討するために、竹川美奈子先生の「一番やさしい!一番くわしい!iDeCo活用入門」を読んでみました。
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結論から言うと、iDeCoの出口戦略は第5章を読むと分かります。

第5章の中で私は178~179ページに書いてあることが参考になりました。

特に税金の退職所得控除枠が拠出期間20年までは40万/年、21年以降は70万円/年に増えることは参考になりました。

というのも、自分のiDeCo拠出期間が60歳まで拠出するとちょうどぴったり20年になるのです。

さらに自分は国民年金の未納期間が3か月あるので、60歳以降国民年金に任意加入して、iDeCoを1か月追加拠出するだけで、退職所得控除枠が70万円増えることが分かりました。

(iDeCoは国民年金に加入していなければ拠出できません)

iDeCoを含む一時金の拠出期間は、端数繰り上げで計算されます。

例えば20年と1か月拠出していたら、拠出期間21年としてカウントされるそうです。

こうした小ワザは知らないとできないので、本書をよ~く読んで、自分の場合はどうするのがトクか?を各自が検討するしかありません。

それから、iDeCoを含む退職一時金にかかる税金が退職所得控除枠を超えた額の1/2に対してかかる、というのも参考になりました。

特定口座で資産運用した場合は利益分にしか税金がかかりません。

iDeCoの場合、退職所得控除枠を超えた額の1/2全部(利益分ではない)ということが重要です。

利益でなく全部に対して税金がかかるところに注意が必要。

全部に対して税金がかかるならば、できるだけ退職所得控除枠内でiDeCoを受け取った方がよいかも、と感じ始めました。

そのためには、iDeCoの拠出期間の最後の方は拠出額を減らして受取金額の調整を検討しても良いかもしれません。

特に早期リタイアして、退職所得控除枠を増やすためだけにiDeCoを継続しているような人は、拠出金を減らして最適化した方がいいかもしれません。

定められた税制の中で最適化するのは大事です。

その他に、本書は分かりにくいiDeCo制度を図を使って分かりやすく説明していて良かったです。

特に185ページに退職所得控除枠を共有する期間「前年以前19年とは?」を図で示してあるのが、分かりやすくて助かりました。

この点を正しく理解してiDeCo受け取り時期を決めないといけません。

間違った時期にiDeCoを受け取ってしまっても元には戻せないからです。

iDeCoの卒業試験難しいです。

特に転職して退職金を受け取った方は、エクセルなどで自分の状況を時系列で整理し、iDeCoをいつどのように受け取るのが一番トクか?早めに検討した方が良いと思います。

私は日本FP協会のホームページからダウンロードしたキャッシュフロー表で検討しました。


せっかくiDeCoを始めて適切なリスクを取り老後資産を増やしても、受け取り方を間違えたら喜び半減です。

遠足は家に帰るまでが遠足ですので、iDeCoの終わり方もよく考えた方がいいですよ。

竹川美奈子先生の「iDeCo活用入門」はこれからiDeCoを始める方にも、終了間際の方にもためになる良書ですので、興味のある方は是非読んでみてくださいね。



ここまでお読みいただきましてありがとうございました。

では、またね。(*・ω・)ノ

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【読書】「本気でFIREを目指す人のための資産形成入門」を(穂高唯希 著)を読んでみた

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こんにちは、ウメイロです。

「本気でFIREを目指す人のための資産形成入門」を読んでみました。
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本気でFIREをめざす人のための資産形成入門 30歳でセミリタイアした私の高配当・増配株投資法

著者の穂高唯希さんは、元三菱系列のサラリーマンだった方で、高収入であるにもかかわらず、収入の大半を主に米英豪、一部アジアの高配当株投資に入金し、30歳でFIREを達成した方です。

元はブログ「三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイアを目指してみた」を書いていて、今も更新されている方です。

本書は穂高さんのFIRE達成までに実践してきたことを紹介しています。

穂高さんのしてきたことは極めてシンプル。

収入ー支出を最適化(節約)し、収入の8割を高配当株投資に入金し続けてきたこと。

私もこの公式には大賛成です。

世の中には支出の最適化(節約)を貧乏くさいと感じる方もいますが、いくら収入が多くても、無駄遣いが多ければ、収入の8割もの金額を投資に回すことはできません。

支出の最適化(節約)、非常に重要です。

本書には穂高さんが実際に行った節約方法が紹介されています。

また、穂高さんは個別株の高配当株投資を実施してきたそうです。

実際に穂高さんが投資してきた個別の高配当株がいくつか紹介されています。

しかし銘柄選定において個別株は一般人には非常に難易度が高い。

そこで、個別株に代わるものとして米国高配当ETFを勧めています。

具体的には、SPYD、HDV、VYMといった購入銘柄数70以上の高配当ETFを推奨しています。

自分はインデックス投資家で、市場全体に投資する方法を実践してきたので、ここは穂高さんと少し異なることころ。

穂高さんが言うには、高配当株投資は株価の下落局面において精神の安定を保つのに良いそうです。

高配当株は相場の下落局面でも安定的な配当があることで、株価下落のマイナスを和らげる効果があると。

確かに全世界のインデックス投資をしていると、1~1.5%程度の配当があるとはいえ、市場の下落をもろに受けることになります。

なので、穂高さんの言うことはもっともと感じました。

私も個人年金がわりに高配当株ETFを少し買ってみようと思います。

最も心に残ったのは、穂高さんがこれからの生き方について自らの考えを語っていたこと。

本書では、株式投資で経済的に自由になるテクニカルな技術を伝えるのみならず、主体的に生きること、自らの価値観を信じて人生を選び取ることの大切さが書かれています。

これまでの高度成長社会の高消費的生き方が唯一の正解ではなく、自分にとって何が大切か、自分を信じて自由に選び取ることが重要と書かれています。

そしてその自由を下支えするものとして、経済的に自由であること(配当収入があること)が大切なのだそうです。

資本主義社会では清貧にくらしていても、いくばくかのお金は必要です。

FIREムーブメントを単に働きたくない人の運動、ととらえる方がいますが、そうではなくて今まで良しとされてきた生き方に疑問をもち、主体的に生きる(働く)ことを選び取ることが本質なのでしょう。

これまでと異なる生き方にフォーカスしている点では、ミニマリストに近い考え方なのかもしれません。

私も穂高さんのように経済的自由を得て主体的に生きていきたい。

そのためにももう少し投資活動を頑張っていきます。
ここまでお読みいただきましてありがとうございました。

では、またね。(*・ω・)ノ

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【読書】「今夜、すべてのバーで」(中島らも 著)をコロナ渦で読む

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こんにちは、ウメイロです。

中島らもさんの書いた「今夜、すべてのバーで」を読みました。
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実はこの本を読むのは2度目で、1度目は20代ぐらいに読みました。

小説の形式をとっていますが、おそらく中島らもさんがアルコールの飲みすぎによる体調悪化で入院した体験をベースに書かれています。

入院中の入院仲間?や担当医師との会話を中心に、軽妙な語り口で、アルコール依存症の現実が書かれている、読みやすい本です。

古い本で1994年が初版です。

ですが、今コロナでステイホームが長期化する中、ひそかに自宅でアルコール依存症が進行する方もいるのでは?と思い、再びこの本を手に取りました。

この本を最初に読んだ時は、アルコール依存症の現実を知ることができ、興味深く読むことができました。

今読むと、主人公のセンチメンタルでナルシスティックな部分を傲慢に感じたりもしました。

この点は主人公の担当医師からも指摘されていて「自分のこと特別だと思っているだろ」と言われています。

主人公を支える、親友の妹さやかとの関係も、恋愛関係があるのかないのかよくわからない関係なのに、やたらと甘く書かれていて、ご都合主義というか、なんか不自然に感じました。

最初に読んだ時よりも、自分が大人になったから、バブル時代の男性の狡さや甘えが見え隠れし、違和感を感じるようになったのかもしれません。

批判的な書き方をしてしまいましたが、アルコール依存症の実体を、小説の形式で深刻にならずに知るには良本だと思います。

ちなみに作者の中島らもさんは、酔って飲食店の階段から転がり落ちて52歳で世を去りました。

最後に、私自身のアルコール体験をちょっと披露します。

自分は、親がアルコールが飲めない体質だったので、アルコールは料理酒しかない家で育ちました。

なので、アルコールによる酩酊状態がどんなもんだか知らない子供時代を過ごしました。

小学校高学年だったある日、友人の家に行ったら、高校生のお兄さんが酒を飲んでべろんべろんに酔っぱらっていて、すごくびっくりしたのを覚えています。

人間って酒を飲むとこんな風になるんだ~、怖~い、とショックを受けたというか。

友人は「あいつは頭がおかしいから無視していい」というようなことを言っていました。

アルコールによる過度な酩酊って、本人は何も分からなくなり気持ちいいのかもしれませんが、周囲の人は引くと言うか、迷惑でしかないのではないでしょうか。

自分は親の体質を受け継ぎ、アルコールをあまり飲めないので、アルコールに依存するほど没入する心理がどうしても理解できません。

酒を飲むだけで、現世の憂さをすべて忘れられるのがうらやましいような、怖いような。。

お酒はほどほどに楽しみましょう。

そもそも依存性を持った人に「ほどほどに」と言っても無理ないのかもね。



ここまでお読みいただきましてありがとうございました。

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